2018年2月6日

デザイン工芸コース企画「アトリエトーク2017」


デザイン工芸コースでは、夏期講習会の実技講座の特別イベントとして、hamabiから難関美大のデザイン科・工芸科へ進学を果たしたOB・OGを招いてのアトリエ・トークが開かれました。先輩たちの進路の決め方、受験時代の苦労話、壁を突破したきっかけなど、美大受験に役立つ情報が沢山ありました。さらにモチベーションアップにも繋がったようです。その内容をご紹介します。



トークに参加してくれた先輩たち







新しい環境で出会った、
自分とは全く違う人の存在。

 

 


Q. 大学に入学してみて、何かびっくりしたことはありましたか?

阿部
「私にとって刺激的だったのは武蔵美のサークルでの経験です。武蔵美のサークルは結構ゆるいところが多いって聞くんですけど、私が所属してた劇団ムサビは結構本気で。視覚伝達デザイン(視デ)とは全く関係ない舞台美術の世界に入ってしまったんです。なので授業では学ぶことのできない、例えばすごい大きいノコギリだとか電ノコだとかインパクトドライバーとか、普段絶対に触れないものに触ることができたりして。巨大な物を自分たちで作るっていう機会を得ることができました。授業とは全然関係ないサークルなんですけど、その中で得た知識だとか経験はすごい貴重だと思っています。劇団ムサビは空間系の活動が主なので、空間演出デザイン(空デ)の子が多いんですよ。なので空デの人の話がたくさん耳に入ってきます。そうすると、視デの考えてることと空デの考えてることが全く違うってことがわかって、こういう風に考えてる人もいるんだなあって思いました。」

大竹
「私は芸大の上野キャンパスに通っているんですが、校舎の道路挟んで向かいが音楽校舎で、音大に行っている人とよく会うんですけど、まるで人種が違って結構びっくりしますね。でも話してみると意外と話せたりとかして、それでグループを組んで発表してる人とかもいるので、そういう面で音楽系の人との関わりが持てるのには驚きました。」
山本 「私はもともとすごい機械音痴だったんですけど、ようやく春にMacを買ってなんとかやっていけるようになりました。多摩美のプロダクトにいると3Dプリンターとかレーザーカッターとか、そういう機材がもう『使えて当たり前!』みたいな感じで。だから今そんな世界に自分がいるのがちょっとびっくりです。」



受験期の私を支えてくれたもの。




Q. 受験生時代のことで記憶に残ってるエピソードや、後輩たちへのアドバイスがあったら教えてください。

 

則常
「私は本当に受験生時代がすごい楽しくて、真剣に美術が好きな人たちがいる空間で絵に向き合えて、三輪車がモチーフだった課題のときも、みんなは嫌だ嫌だって苦しんでいたけど、私は全然嫌じゃなくて(笑)。先生も一緒にやっていた仲間たちも大好きで、今でも一緒に遊びに行ったりしているくらいなんです。」

阿部
「夏期講習会の始まる直前と終わった後にコンクールがありますよね?その最初と終わりのコンクールを経験した後、何も成長していないじゃないかなっていう気持ちに取り憑かれたんですね。それから気分が落ち込んじゃって、スランプに陥ってしまったんです。授業も面倒臭いなと思いながら、駄目だ全然成長しなかった今回も…って。それで、一週間くらい仮病を使ってサボってしまいました(笑)。ちゃんとそのあと復帰したんですけどね。サボってた期間は、受験勉強があるから見に行かないって決めていた映画に思い切って行っちゃったりだとか、受験だからやらないって決めてたゲームをやったりだとか、好きな小説買って読んでみたりだとかして心をリフレッシュさせる期間にしたんですね。私はそれで少しバランスを取り戻せたような気がします。だから、あんまりサボるのは良く無いないかもしれないんですけど、本当に行き詰まった時はそのままの状態だと本当に良くないことばかり起こるので、思い切ってちょっと心の余裕を持てる時間を作った方が良いと思います。特に夏期講習会の最中はすごい忙しいと思うので、自分のモチベーション維持にもちょっと目を向けてあげて下さい。」

大竹
「私は芸大に行きたくて1年浪人してたんですけど、現役の頃は焦ってたんで『もう受験!?』っていうくらいあっという間に時間が過ぎちゃった感じだったんですけど、浪人してから迎えた夏期講習会は『長すぎる〜〜!』って思いました。だから、毎日4時にコンビニにおやつ買いに行くのが楽しみでした(笑)。良い評価がもらえる作品を作るまでおやつは買えないっていう謎のルールを作りながら受験生活を乗り切ってました(笑)。自分でメリハリを付けようとしないと、だらだらと時間が過ぎていってしまうので、自分なりのルールがあると良いかなと思います。」




山本
「この中に通信教育コースだった人っていますか?私は通い出したのが遅くて2年生の12月から通い始めて、その後ずっとバレー部だったんですけど、部活と両立するために、3年生になってからは2ヶ月と ちょっとくらい通信教育コースで勉強していました。夏期講習会の直前にようやくみんなと混ざってやりだしたんですけど、もう間に合わないと思って…。講習会は浪人生と一緒になってやると思うんですが、私の代ってすごい濃い〜先輩たちがいて、その先輩たちにたくさん教わりました。授業後に先輩たちが講師室に入って行って実技のことを色々相談しているのを見て『あ、マネしよう』って。私もいっぱい個別に相談にのってもらいました(笑)入試直前は混みますからお早めに!」

市川
「予備校で仲良くなった友達がすごい今の財産になってます。つい最近も集まって遊んだんですよ。みんな美大生だから、一般大学の子とは話さないようなことを喋れて楽しいです。高3の夏もその仲間たちと楽しく過ごせて、それが本当に受験期の支えになっていました。皆さんも今の友達を大事にして、お互いちゃんと頑張ろうねって励ましあっていけたらいいと思います。」

志賀
「デザイン工芸コースの講評会って作品のレベルによって上段下段に分かれますよね。私は月に1回くらいは上段に入れるレベルだったんです。でも第一志望は多摩美のグラフィックだったので、倍率の高い学科だし、これじゃ合格点に届かないんじゃないかと不安になって…。『やばい!学科をやって総合得点を上げなきゃ』と思って、そこから猛勉強しました。特に夏期講習会中が一番頑張ったんですけど、朝5時に起きて2時間勉強してご飯食べて、hamabiに来て、帰って勉強して寝るっていう生活を毎日やっていました。それがのちに自信に繋がりました。自分の自信につなげるためにも学科の勉強はしておくべきだと思います。」



毎日予備校に来て絵を描いた。 
それが一番自信に繋がった。

 

 


Q. 入試まであと5ヶ月とちょっとです。最後に、ここにいる後輩たちに激励の言葉をお願いします!


大竹
「私にとって受験時代に一番自信に繋がったことは『毎日ここに来て絵を描いていた』っていうことだけです。皆もそれをやると良いと思います。これが私の激励です。」

山本
「自分が受験生の時もこういうアトリエトークが開かれたんですが、その時に来ていた先輩の一人が、『入試の2週間前くらいにピンと来た』って言ってたんですよ。要はギリギリになってもチャンスはあるから諦めずに頑張れってことだったと思うんですけど、でも私はなかなか描けなくて…。12月の後半あたりに先生に『ピンと来ません』って言いに行ったんですよ。そしたら『来るんだよ!』って言われて(笑)   『来ると思って描くんだ!』って。弱気になる時もあるけど、みんなも最後まで自分を信じて頑張ってください!」

則常
「学科の勉強はしておいてください。私はhamabiが始まる夕方の時間まで毎日学校で自習室で勉強をギリギリまでして、それからhamabiにきて絵を描いて、っていう生活を毎日送っていました。『日々の習慣は今のうちから』が大切だと思います。頑張ってください!」

阿部
「今のうちに『自分の得意なこと』をひとつ見つけると良いと思います。例えば、描写力は負けないとか、調子の幅だったら任せろとか、輪郭線は誰よりも丁寧に描くとか。そして、その強みを入試本番でもそれに特化して描ききるっていうことが合格に繋がると思うし、そういう合格者は実際にいるんです。これからデッサン力を伸ばせる時間はどんどん減ってくるので、今から自分の強みを見つけてください。」

市川
「私は全然絵も上手くなかったし勉強もできなかったし、先生に迷惑かけたな~って今も思ってます。しかも第一志望に受からなかったし、あぁぁぁ…(笑)なんて思っちゃたんですけど、でも今現在どうにかなってます。自分のやりたかったことも出来てます。もちろん第一志望に受かるのが一番良いんですけど、もし何かあっても結局何とかなる。だったらもう目標に向かって本気でやるしかないと思います。頑張ってください。」

志賀
「いま多摩美の同じクラスの友人に、描く作品が毎回参考作品になるみたいな上手な子がいるんです。私は入試本番にその子のとなりだったんですよ。本番ももちろんすごい上手くて、これが多摩グラの平均かよ〜!と思って超ビビりながら描いていました。でも自信は失いませんでした。私はずっと手のクロッキーを毎週先生の所へ持って行くのを日課にしてた時があって、正直質は悪かったかもしれないけど、量を出すことで自信に繋げようと思っていました。誰よりも描いているっていうことで。みんなも自分なりのモットーを持って受験に取り組むと良いと思います。」




先輩たちの経験とアドバイスを生かして、私たちもこの先の受験期を乗り越えていきましょう!きっと自信に繋げることができるはず!卒業生の皆さん、貴重なお話をありがとうございました!


2016年10月1日

「作家」としての生き方。日々の中で大切にしていること。


卒業生からのメッセージ。

今回ご紹介する卒業生は、
作家として活躍する小林真理子(こばやし・まりこ)さんです。

小林さんは、hamabiの油画コース出身で、
東京藝術大学の大学院を修了されています。
現在はhamabiの油画コース講師として、
後輩たちの実技指導にも携わってくれています。

今回は、
「大学(大学院)ではどんな制作や活動をしていたのですか?」
「作家として生きていくってどういう感じですか?」
という話題に的を絞り、お話を伺いました。



「そのいつかを待ちながら」 F40号 キャンバス・白亜地・油彩



Q.東京藝術大学ではどんなことを学んでいたのですか?

小林:
学部1年~4年の間は自身の絵画制作を中心に、学年ごとに異なる実技のカリキュラムが組まれていましたので、それにも取り組んでいました。絵画だけではなく、現代美術や壁画、版画など様々な分野の先生がいらっしゃったので、実習やゼミ、イベント運営、集中講義などを通して、自分の制作の方向性について多角的に考える機会を得られたと思います。教職と学芸員の資格取得のための授業も履修していました。

また、絵具や支持体など、絵画を支える素材や道具、技術については、予備校時代から特に関心があったので、油画技法・材料研究室の先生の研究のお手伝い(ラピスラズリからの天然ウルトラマリンの抽出)などもしていました。材料とそれを扱うための技法を学ぶことは、自分の絵への向き合い方を見つめなおすことでもありました。ただ描きたいものを描けばいいということではなく、材料や技法に助けてもらっているのだということ。また、その特性や弱点をうまく利用して自分の制作に結び付けることの大切さを学びました。



Q.大学院ではどのような研究をしていたのですか?

小林:
大学院では、油画技法・材料研究室に進み、修士の2年間と研究生の1年間を研究室で過ごしました。お互いの制作について話し合うゼミのほか、技法書制作に使用する写真の撮影や支持体制作、黄金背景テンペラ画の制作などを行いつつ、修了制作に向けて取材や制作、展示(個展やグループ展)などを行っていました。

ほか、新潟県の妙高高原や、群馬県のみなかみ町など、大学や研究室が交流事業を行っている地域に行き、イベントの講師や滞在制作、展示を通して、それぞれの場に関わる方々と接する中で、美術にできることは何か?ということについて考えるようにもなりました。

また、いわゆる授業やカリキュラムとは違う場での経験についてですが、美術学部敷地内のギャラリーショップでの経験からも大きな影響を受けています。学部2年から7年間、スタッフとしてアルバイトをしていましたが、様々なジャンルの作家の作品を扱うのは勿論のこと、来店されるお客さんと接する中で、いかに美術や作り手側が「作品を見に来てくれる人たち」「美術が好きな人たち」に支えられているかを知りました。

作品をただ作って展示して終わり…専門知識がある限られた人だけに向けての発表…だけではなく、もっと日常的に作品を見てくれる人たちの感性にも向き合いたいと思えるようになったのは、この体験から来ていると思います。



個展  『めぐる氣の色、眩しさを織る』での作品展示風景



Q.作品を作るとき、こだわっていることはありますか?

小林:
私は、光や眩しさ、儚さを感じるもの、生命力や記憶、言葉などを手掛かりに作品を制作しています。今は具象と抽象の間を行き来するような作品を作っていますが、もともとは植物や風景など、かたちのあるものを具体的に描いていました。そこから、より自分のテーマに近づけるため、あえて光のかたちそのものだけで作品を作れないかと考えるようになりました。



Q.作家として絵を描いていくってどんな感じですか?

小林:
作家活動をする中で嬉しいのは、自分が表現したいことを、描くことを通して作品の上に出せた時です。また、作品を発表した時に、作品を見てくれた誰かと話すことや、相手の感覚に共感できることも嬉しいですね。絵を通して人や場との繋がりが生まれたり、そこで得た言葉に反応することが、次の制作に繋がっていると感じています。

作家としてのスタンス(作家一本か、他の仕事と並行しながら制作を続けるか)は人それぞれだと思いますが、作ったものから答えを見出し、次の目標や課題を考えていくことは、作品の内容や活動のスタイルを問わず重要だと思います。

限られた時間をどのように使うか?作家としてどう生きるのが最も自分に合っているか?など、考えすぎて壁にぶつかることもありますが、たとえ挫折してもゼロからまた挑戦して、先に進むきっかけを見出せると信じて活動していきたいと考えています。



個展  『めぐる氣の色、眩しさを織る』での作品展示風景



Q.いま美大を目指している高校生にアドバイスを!

小林:
「毎日描いていればどうにかなる」のではなく、一旦自分をゼロにして、知らないものを知ろうとすることが大切だと思います。私自身、「特別な才能があるわけでもない今の自分」を受け入れ、挫折し、絵をやり直すことが全ての始まりでした。皆さんも、日常の中での小さな発見や感動を大切にし、他の誰でもない自分を育てていく気持ちがあれば、受験に限らず大学やその先の活動で、自分をぶらさずに後悔しないものが作っていけるのではないかと思います。




小林真理子(こばやし・まりこ)
小林真理子(こばやし・まりこ)
作家。東京藝術大学大学院修了。作家として作品の制作・発表をする傍、hamabiの油画コースの講師、中学校での美術教諭を担当するなど、美術に関わる様々な分野で精力的に活動を続けている。


撮影・取材協力:かわかみ画廊





(インタビュー:2015年10月)

2016年6月9日

多摩美術大学グラフィックデザイン学科 2年生からのメッセージ!


卒業生からのメッセージ。

今回ご紹介する美大生は、
多摩美術大学グラフィックデザイン学科に在籍する
2年生の和田 伊真(わだ・いさな)さんです。

和田さんは、現在hamabiのデザイン工芸コース講師として、
後輩たちの実技指導に携わってくれています。
今回は多摩美術大学での作品制作や自主的に行っている活動、
予備校生時代に経験したことなどについて語っていただきました。



ライブハウスで展示したB1サイズのポスター作品。
会場の壁に和田さんの作品が飾られている。
幾何学図形と自由曲線による柔らかなイラストを織り交ぜた作品。



Q.いま、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科では、どのような勉強をしていますか?

和田:
グラフィックデザイン学科では3年生からコースが分かれるので、その下準備としてグラフィックの幅広い分野(ポスター・イラストレーション・タイポグラフィ・立体デザイン)を勉強しています。有名な教授が沢山いるので講義を通してその人達のデザインの話や考えを聞けるのでとてもためになるし、自分のデザインの幅が広がる気がします。



BARとして使われている空間を、
ライブハウスとして使用。
アーティストたちの演奏がイベントを盛り上げる。



Q.展示風景(写真上)を見ると、いわゆるギャラリーでの個展や美術館での展覧会とは、随分違う雰囲気ですね。今回のイベントと、ポスター作品の内容について教えてください。

和田:
今回は展示会場での個展や展覧会というよりは、音楽、デザイン、ダンスなど様々なカルチャーの人達が繋がろうというコンセプトの企画イベントで僕はデザイン枠でポスターを制作しました。イベントの場所や雰囲気に合った物をという注文があったので何度もブラッシュアップして制作しました。役割としては雰囲気作りの為の一部だったんだと思います(笑)



ライブハウスで展示したB1サイズのポスター作品。
イベント名から山の頂上をイメージしデザイン。



Q.どのようなものからインスピレーションを受けて制作することが多いですか?

和田:
僕は幾何図形、自由曲線とガラクタやゴミで不思議な世界をつくる写真表現でポスターを作っています。昔から街に溢れるグラフィティやステッカーなどが好きです。特にごちゃごちゃした形というよりはシンプルな形で作られてるものが好きで平面作品だけでなく立体作品などからインスピレーションを受けたりします。あとは普段の生活の中で気になった物や現象からインスピレーションを受けます。



ライブハウスで展示したポスター作品。
大学の課題で撮影した写真を使い、イベントのイメージをポスターで表現。


和田 伊真  さん(わだ・いさな)



Q.憧れのクリエイターや、目標にしていることは何ですか?

和田:
広告、ポスターではないですが吉岡徳仁さんが好きです。彼は空間デザインですが考えや目の付け所が魅力的で憧れます。あと現代美術集団のChim↑Pomが好きです。彼らは常に人を驚かせていく人達なので毎回作品を見るたびすごいと思います。いまの目標はポスターといった広告を主軸にその概念を覆すような物やコトをやっていきたいです。



Q.大学での勉強に、hamabiでの経験が活きていると感じることはありますか?

和田:
hamabiで学んだ色彩構成やデッサンは、そのまま大学の課題でも自主制作でも活かせています。グラフィックデザイン学科では2年生まで基礎課題として絵を描くので、培ったデッサン力はとても大きな助けになります。また広告物等のデザインをする時は、鍛えた構成力や発想法、バランス感覚などが自分の土台になってくれているので、そのまま制作へ進むことが出来ています。



和田さんは、いまはポスター作品を中心に制作中されていますが、
今後は立体物(パッケージデザインなど)の制作にも積極的に挑戦していくそうです。
頑張ってください!
ご活躍を楽しみにしています!

インタビュー:2015年10月)



2015年6月12日

多摩美プロダクトデザイン2年生からのメッセージ



横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ1
多摩美術大学 生産デザイン学科 プロダクトデザイン専攻在籍 粥川青葉さん


卒業生からのメッセージ。


2回目に登場していただく卒業生は、現在、多摩美術大学のプロダクトデザイン専攻に通う2年生、粥川青葉さんです。


なんと、粥川さんは中学生の時からhamabiに通っていました。hamabiに入学してから見事多摩美術大学に現役合格するまでの約4年間。彼女はこれまでにどんな経験を積んできたのでしょうか。まずは高2生の時のエピソードからご紹介します。


粥川:
高2生の時、私は高1生・高2生科のレギュラーコースの週2日クラスに在籍していました。この頃は、受験の対策としてではなく、純粋に「良い絵を描きたい」という思いで制作していました。そして、このクラスで体験した事が、自分の志望専攻をじっくり考えるきっかけになったように思います。同じアトリエには、自分が興味を持っていたデザインや工芸のような専攻の他に、ファイン系志望の人たちもいて、そういう人たちと混ざって制作していた時間は、たくさんの発見と驚きにあふれていました。


横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ2
粥川さんが高2生の夏頃に描いた静物デッサン


その後、高2の秋頃に、特進コース週4日クラスに移籍。今までの倍の時間を使ってひとつの課題に取り組むようになります。同時に、今まで基礎的なデッサン課題が中心だったのに比べ、特進コースでは積極的に絵の具を使うなど、志望専攻別の課題をこなしていきます。


粥川:
特進コースでは、高3生になる前に、専攻別課題がいち早く経験できる事がとても嬉しかったです。一番の思い出は学年末の芸術祭。できることを全力でやりきった結果、準グランプリも頂けて達成感がありました。この時に経験したモックアップを何個も作り立体をデザインするプロセスは、大学でやっていることにも繋がっているな、と思います。


横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ3
芸術祭での立体作品(幅30×高さ70×奥行き70cm。アクリル板と糸を使用。)


横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ4
左:小さなモックアップを作り、綿密に準備する。   右:見事、準グランプリを受賞!


芸術祭が終わると、いよいよ高校3年生。デザイン工芸コースに進級し、ここから本格的な受験対策を始めていきます。



粥川:
この一年間は、何かをやり残して後悔することのないよう心に決めて過ごしました。相手の要望を聞き、資料を調べ、要望以上の答えを返す努力をする、というデザイン工芸コースの入試対策は、私の性格に合っていて本当に楽しかったです。講評会に欠かさず作品を出し、わからないことがあったら質問するといった、hamabiの環境を最大限に生かそうとする姿勢が、合格という結果に結びついたのだと思います。


そして、それ以上に、この時期に養われた「目」は私の宝物です。物を観察し美しさを見つけ出す「目」は、受験が終わっても生き続けます。予備校は、合格する為だけでなく、大学で制作する上で必要な力を身につける場所でもあります。なんとなく課題をこなすのではなく、展示や本からのインプットをしながら、 一枚一枚を大事に、自主的に楽しんで制作をする事が大切だと思います!


横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ5
粥川さんが入試で描いた色彩構成(入試再現作品)

横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ6
粥川さんが入試で描いたデッサン(入試再現作品)


迎えた1年後の入試を見事制し、念願だった多摩美術大学プロダクトデザイン専攻に現役合格しました。その後の大学生活はいかがですか?


粥川:
プロダクト専攻での生活は、入学前の予想よりも忙しいですが、それが全く苦にならないくらいに面白く、充実しています! 課題をこなしていると、立体の造形だけでなく、リサーチや企画、写真、グラフィック、展示の空間設計、他人とのコミュニケーションなど、さまざまな分野の能力を自然と身に付けることができます。学生ひとり一人と丁寧に向き合ってくださる先生のもとで課題を全力で楽しみ、楽しんだ分成長することのできる環境は、本当に恵まれていると思います。


それに加え、オープンキャンパスや外部での展示、そしてクリスマスパーティーなどの学生主体のイベントがあるので、様々な人と関わる機会があります。先生や先輩、同輩とのつながりの中で、今まで見たことのないような新しい視点に触れながら、自分のやりたいことのできる喜びを感じる毎日です!


横浜美術学院 OB・OGからのメッセージ ブログ 多摩美術大学プロダクトデザイン2年生からのメッセージ7


粥川さんは予備校で身につけたベースの能力を活かしながら、新たなステージへと進んでいるようです。これからの活躍、期待しています!頑張ってください!!



2015年2月2日

多摩美グラフィックデザイン1年生からのメッセージ


多摩美術大学グラフィックデザイン学科1年在籍
松本小夏さん

2015年でhamabiは30周年を迎えました。
今までにたくさんの卒業生を輩出してきましたが、
その卒業生たちが今どんな場所で活躍しているのか、
hamabiに通っていた時代にどんな経緯でどうやって勉強してきたのか、
ご本人にインタビューして探っていきます。

いまhamabiに通っている生徒はもちろん、
これから本格的に美大受験への道を進もうと考えている高校生にとっての
道しるべとなるような情報をお届けしていくつもりです。

その記念すべき第1回目に登場する卒業生は、
現在、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に通う1年生の
松本小夏さんです。

松本さんは高1生の冬からhamabiに通い始め、実技勉強をスタートさせました。
最初は高1生・高2生科のレギュラーコース週2日クラスに入学し、
デッサンの基礎トレーニングを行っていきました。


松本:
高校生になってから美大進学を決めた私にとって、
高1生・高2生科は「絵を描く事」や絵の楽しさを学んだ場であったと思います。
デッサンの鉛筆の使い方もわからなかった私にとって、
毎回の授業が新しい驚きと楽しさの連続でした。
友達もでき、先生との距離が近く感じられるようになったのも
高1生・高2生科時代だと思います。


松本さんがレギュラーコースに在籍していたときの作品


その後、松本さんは高2の春に週3日クラスに移籍、
さらに高2の秋には、特進コース週4日クラスにコース変更し、
実技トレーニングのウェイトを徐々に増やし、上達への道を突き進んでいきました。
特進コースは、難易度の高い課題に取り組むことはもちろん、
専攻別課題にひと足早く触れられることが大きな特徴です。


松本:
週4日通うなかで完成度を上げる制作を実感出来ると同時に、
焦らず途中でやり直す事もできて、毎週全力で取り組めて本当に充実していました。
少人数クラスだったため一人に当てられる講評時間が長く、
しかも様々な方向に広がる先生のお話が面白く、多くの知識を頂きました。
また、私はデザイン志望でしたが、
油画や日本画志望の人とも同じ教室で制作出来るので、
違う課題の講評も聞けて勉強になりました。
上手な人に近づきたいと思いながら参加するコンクールは、
受験本番のように緊張感があり、受験生にとって
「hamabiの特進に通っていたこと」が大きな自信になると思います。


松本さんが特進コースに在籍していたときのデッサン作品

松本さんが特進コースに在籍していたときの色彩構成作品


高3生になった松本さんは、高3生・高卒生科のデザイン工芸コースに進級しました。
ここから志望校・志望専攻別の本格的な入試対策を1年間みっちりと続け、
さあ、いよいよ入試へ!
でもいざ試験会場に脚を運ぶと、不安な気持ちも出てきたようで…

松本:
試験会場に行くと、周りの人がみんな上手く見え、
自分が出来ることが果たして通用するのか分からなくなりました。
自分の実力では受からないと思うような課題の時も、
先生の「これで大丈夫、問題ない」という言葉を信じた結果、
合格することが出来ました。
受験生の間、数えきれないほどの枚数を描き、
先生の指導の下で覚えてきたことは必ず意味があり、通用するものです。
自分の過去の努力と先生を最後まで信じることが必要なことだと思いました。

 
今までの自分のやってきたことを信じてやり切った松本さんは、
多摩美術大学グラフィックデザイン学科に見事現役合格!
実技・学科ともに自分の実力を発揮することが出来ました。


松本さんの多摩美術大学グラフィックデザイン学科入試再現作品(色彩構成)

松本さんの多摩美術大学グラフィックデザイン学科入試再現作品(デッサン)



念願だった多摩美術大学へ晴れて入学することになった松本さん。
その入学式で聞いた“ある言葉”が、今も印象に残っているそうです。


松本:
入学式で言われた「多摩美内では世間で言う“常識”が“常識”ではなくなる」
という言葉を、いま実感してしています。
それぞれの個性や価値観が尊重され、禁止事項や拘束がない環境は居心地が良いのです。
性別、年齢にとらわれない個性的な友人もできました。
制作や課題についてはやろうと思えば何でも出来、教授も全力でサポートしてくれます。
1年目なのでまだ基礎の習得が主で、様々な画家の画風を研究し
その手法を実践する課題や、色彩について学ぶ授業が多いので、
この先、本格的にグラフィックデザインの課題になるのが楽しみです。


高校時代とはガラリと変わった自由なキャンパスで、
自分の一番好きな勉強ができるというのはわくわくしますね。
今後どのような活躍を見せてくれるのか、楽しみです!